名古屋市の認知症、動脈硬化、自律神経失調症、その他脳、神経に関する専門的クリニック

どうして自律神経が内科的に重要なのか?

 当クリニックでは積極的に自律神経機能を検査し、治療に役立てています。自律神経失調症(AD)は一般に、精神科あるいは神経内科で診療されますが、どちらが適するのでしょう? 自律神経失調症はストレスなどの精神的要因だけでなく、運動不足や都会型の生活で悪化するので、高血圧、糖尿病などの成人病と同様と考えることができます。そして自律神経はあらゆる臓器を調節していますから、色々な内科分野の臓器障害の原因になり得るのです。例えば、胃潰瘍、動悸、不整脈、狭心症、過敏性大腸炎、片頭痛、眩暈症、耳鳴り・・・。やはり内科医が診るべきと思います。これらの疾患は他の原因でも起こりますが、自律神経失調症も原因の一つとして考慮せねばなりません。

 脳梗塞は、動脈硬化、血液のドロドロ、血管収縮の3つが重なり合って発症します。せっかく高血圧、糖尿病、高脂血症を治療して動脈硬化や血液のドロドロを管理しても、必要以上に血管が収縮してしまい、血栓ができてしまったら、取り返しがつきません。この血管収縮を起こすのがADなのです。脳梗塞に限らず、自律神経失調症は血管障害の引き金にもなり得るのです。

 東北大学医学部教授の安保 徹先生は実にわかりやすく自律神経と免疫について説かれています。それによると、副交感神経が弱くなると(交感神経が強くなると)、白血球の中で免疫を司るリンパ球が減少します。リンパ球が減少すると、癌細胞などの有害物質を退治する防御機能が低下してしまいます。また副交感神経は血管を拡張し、身体の抹消の有害物質を血流に乗せて体外へ運び出す働きもします。安保先生の本を読むと、癌の予防は自律神経を安定させれば大丈夫と思えます。

 以上のように自律神経失調症は血管障害、癌という現代の二大死因に強く関与している可能性があります。自律神経失調症の治療は、今悩んでいる症状を楽にするだけでなく、将来襲ってくるかもしれない重篤な疾患を予防していると思っています。そのような訳で自律神経の評価、治療は内科的に重要なのです。

関連する今月の話題