我々は脳神経内科ですから、肉体的ODを対象にすべきで、精神的ODは神経科にお願いしなければなりません。脳神経内科医では精神的ODはしっかり治せません。しかし肉体的ODは脳神経内科の分野で、治す自信があります。従ってまずやらなければいけないのは、ODでもどちらに問題があるかを見極めることです。最初にこれを「OD問診」で判別します。
肉体的OD(以下ODと略す)であると判断されたら、自律神経の状態を調べます。私のクリニックでは『起立負荷試験(Tilt Test)』と『心拍変動パワースペクトル解析』を用いて自律神経を評価します。ODでは交感神経が興奮して起立時に心拍が異常に増加したり、血圧が低下します。交感神経の数値(場合によっては副交感神経も)が大きくはね上がるのです。交感神経は車ならアクセル(副交感神経はブレーキ)です。ODは初心者の運転みたいに内臓へ働くアクセルが強すぎて心臓などが“戦闘モード”になってしまうのです。心臓以外の内臓も慢性疲労を起こして、“怠け者”に見える子供を作ってしまいます。
ODは思春期に起きる成長障害ですが、似たような症状は青年期にも老年期にも増えてきているように思います。自律神経失調症の増加が広い意味のODを増やしているのでしょう。