そもそもアルツハイマー病は発症する20年前から脳内にアミロイドという異常物質が増えていくことから始まるのです。アミロイドは程度の差こそあれ、中年期を迎えたら誰でも脳内に生まれます。「死んだほうがマシ」と捨てゼリフを吐く人たちの脳内にも、おそらくアミロイドがウヨウヨいるはずです。誰でもいつかは認知症になるのです。
このように100歳時代に差しかかった我々は、いつか認知症になるという前提で人生を送らなければいけません。「認知症」と診断された日から、特別な人生が始まるというわけではないのです。認知症で圧倒的に多いのがアルツハイマー病です。中年期から「アルツハイマー病の道」を我々は歩み始めるのです。
以下のように考えてください。80歳でアルツハイマー病が発症するとしたら、その20年前、すなわち60歳頃からアルツハイマー病は脳内に始まっているのです。さらに100歳時代ですから、発症してから20年アルツハイマー病と付き合っていくことになります。つまりアルツハイマー病と診断されたから人生が変わるわけではなく、「アルツハイマー病の道」の中間地点に来たというだけの話です。それを機会にもう一度、頑張って認知症ケアに取り組んで欲しいと思います。アルツハイマー病が顔を出すまでも長いですが、それからも同じくらい長いのです。認知症から逃げてはいけません。