名古屋市では65歳以上の方の『もの忘れ検診』制度が変わります。もっとたくさんの方に受けてもらいたいのです。認知症が急増している現代において、認知症を出来るだけ早く発見することはとても有意義だからです。
認知症が始まると、少なくとも月に医療費、介護費を合わせて10万円の費用がかかります。これを保険で支えてきた我が国の経済状況もなかなかキツいと言わざるをえません。そこで今回の『新・もの忘れ検診』では、認知症の可能性がある患者に対しての精密検査の受診に関わった費用(診察料、検査料)も助成されることになったのです。これからの高齢社会に対し認知症への治療を出来るだけ早くから始めるべきであるという意図が見られます。
認知症(アルツハイマー病)はご存じのように発症の20年前から脳内に病変(アミロイドβなど)が現われます。それならば診断も3年前くらいに出来るはずで、早ければ早いほど予防や治療の余地は拡がります。逆に言うと診断が遅れて認知症が進んだ後ではなすすべもない場合があります。話題のアルツハイマー病新薬であるレカネマブは、認知症が始まるか始まらないかの時点で投与しなければ効果はありません。
今後も認知症は急増していくことでしょう。いつまで家族や国は認知症患者を支えきれるでしょう? 認知症を早く見つけて適切な対応をするのが国民の義務なのかもしれません。認知症という見えないオバケから逃げずに立ち向かうことが大切です。『もの忘れ検診』、逃げないでください。