名古屋市の認知症、動脈硬化、自律神経失調症、その他脳、神経に関する専門的クリニック
認知症の中心となる症状は中核症状とよばれ、記憶障害、実行機能障害、失語・失認・失行などがあります。認知症が進行して、こじれると抑うつ、せん妄、幻覚、妄想、行動異常などの問題行動が起こり、これを認知症の周辺症状といいます。
しかし同じ程度の認知症であっても、周辺症状が少ない人もいれば、問題行動が激しく出て周囲を困らせてしまう人もいます。認知症でも周辺症状が軽ければ自宅で介護出来ますが、周辺症状が強いと介護は非常に困難となり、施設入所もやむを得ないものとなります。このような違いがどうしてでるのでしょうか?
周辺症状の程度が個々で大きく異なるのは、患者の元々の性格と、患者にかかるストレスの大きさが影響しているのではないかと考えます。記憶の中枢は脳の海馬といわれる場所ですが、この海馬はとびきりストレスに弱く、ストレスにより海馬の神経細胞はどんどん消滅していきます。みんな年をとるにつれて神経細胞はだんだん減ってきますが、ストレスはその程度を倍増させるのです。その結果、記憶障害などの中核症状が出現するのです。また、ストレスが大きいとその過程で周辺症状の度合いが強くなるのです。もともとの性格は今さら仕方ありませんが、ストレスを減らすことで、認知症の周辺症状を減らすことができると思います。
よく認知症患者に対する接し方を問われますが、あまり患者の物忘れや間違いを正そうとすることも問題が残るのではないかと思います。認知症患者は大なり小なり劣等感を持っていますから、間違いを突かれると、混乱して"切れて"しまい、ストレスが溜まっていき、問題行動として爆発するのです。認知症患者への対応は子供への教育と同じで、あまり厳しく間違いを指摘すると、逆効果になります。かといって甘やかしすぎると、どんどん"駄目な子"になってしまいます。いわゆる"アメとムチ"が必要なのです。
認知症を進行させないためにも、周辺症状を少なくするためにも、ストレスを出来るだけ減らし、周りの人も認知症患者にストレスをかけすぎないように注意する必要があります。
以上のように、認知症を予防するためにも、ストレスは禁物なのです。