名古屋市の認知症、動脈硬化、自律神経失調症、その他脳、神経に関する専門的クリニック
心身の老化により、満足に日常生活が送れなくなった場合、介護保険を受ける権利が生じます。この制度を十分理解していない患者さんが多いので、少し説明したいと思います。
「介護保険を受ける権利」と書きましたが、現在我々は介護保険料を納める義務があり、これはもし自分が介護を受ける立場になった時に備えての保険なのです。生命保険や年金と同様であると考えてもらえばいいのです。介護保険で助けてもらうことに抵抗する患者さんや家族がみえますが、生命保険や年金を辞退する人がいるでしょうか?
昔は生活が不自由になったら、子供たち家族が面倒を見るのが普通でした。しかし核家族化が進み、これが困難になってきているのはご承知の通りです。最近の子供が親不孝になっている訳ではなく、全く別の次元で親孝行が無理な状況になってきているのです。介護保険というのは家族の代用と考えることが出来ます。
介護保険料は40歳になると、自動的に徴収され、5000円/月前後支払わされているそうです(知りませんでした)。一方、現在5百万人以上の高齢者が介護保険によるサービスを受けています。訓練を受ける、ヘルパーに家事などを手伝ってもらう、入浴を助けてもらう、施設に入所し介護を受ける、など介護サービスは多様です。その程度は、要支援1・2、要介護1・2・3・4・5の7段階があり、最も軽い要支援1で約5万円、最も重度の要介護5で約40万円にあたる介護サービスが受けられるそうです。
介護保険は医療保険を補うため作られたという経緯から、介護サービスを受けるには、医者の証明が必要になります。患者さんが介護サービスを拒否するのは仕方ありませんが、医者が証明書(主治医意見書と言います)を書かなかったり、書くのが遅れたりするのは問題です。介護保険など眼中にない医者もいるものです。私としては、超高齢社会において介護保険サービスはなくてはならない制度なので、必要な患者さんには介護保険を受けるよう積極的に勧めています。
介護保険制度は2000年から発足しました。まさに21世紀の大切な社会制度だと思います。利用者は今後も増えていくことは間違いないでしょう。財源の不足が問題になってきているようですが、これを克服せぬようではアベノミクスなど名ばかりであると思います。
下記に介護保険サービスの種類を挙げますので参考にしてください。