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胃癌と大腸癌

 早期発見で手術などにより完治が可能な癌の代表が胃癌大腸癌です。更に男性は前立腺癌、女性は乳癌、子宮癌、卵巣癌あたりも同様ですが、今回は頻度の高い胃癌と大腸癌について述べます。

 かつて我国においては、男女とも胃癌が最多でした。現在では、男女とも第二位に落ちています(男性では肺癌、女性では大腸癌が死因の第一位)。胃癌はアジア、南米、ロシアなどに多く、塩分やタバコが危険因子とされています。そう言えば、昔の日本人は塩分の摂取も多く、喫煙者の頻度も高かった為、胃癌も多かったのでしょう。最近は、ヘリコバクター・ピロリ菌が胃の中で暴れることにより胃癌が発症しやすいという大発見もあり、ピロリ菌の除菌により今後ますます胃癌は減少していくことが予想されます。とは言うものの、胃カメラは比較的容易なので、理想としては年に一度の検査をお勧めします。

 一方、大腸癌がジワジワと増加していることに注目せねばなりません。大腸癌はヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアに多く、食生活などが欧米化してきている我国で増加しているのも納得出来ます。大腸癌が発症しやすい食生活とは、食物繊維不足、脂肪の取りすぎ(肥満)などが挙げられます。いわゆるメタボの人に発症しやすいわけで、今後も増加していくことが予想されます。大腸ファイバー(肛門からカメラを入れて大腸を調べる)はやや大変ですが、出来れば3年に一度くらい受けるのが望ましいと思います。

 以上のように考えると、癌も生活習慣病の面が強いと言えるのです。勿論、癌家系というのは確かにありますが、遺伝的にコレステロールが高いというのと同じなのです。「親もコレステロールが高い(から仕方ない)」と言う患者には、「それだけに余計頑張って」と指導しますから、癌の場合も家系的に多いのなら、より気を付けねばなりません。すなわち定期的に検査を受け、胃癌の場合はピロリ菌の有無も一度は調べましょう。予防的には、胃癌では塩分と早食いに気をつけること、大腸癌では過度の洋食を控え野菜・海草をたくさん摂ることと、さらに散歩程度の運動をたっぷり行うことです。

 胃癌、大腸癌など"早く見つけると得をする"癌は、早期発見、早期治療が大切ですが、それ以上に予防が肝心です。以下は私見ですが、80歳を越えたら、もうあまり癌も進行せず痛みも少ないので、無理に検査を受けるのも如何なものかとも考えます。くよくよ癌を心配せず、自然に任せるのも一策かもしれません。

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