名古屋市の認知症、動脈硬化、自律神経失調症、その他脳、神経に関する専門的クリニック

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血圧は変動するもの

 人間の血圧は環境、精神状態、時間帯により変動します。すなわち、ちょっとしたことで血圧は変動する訳で、その極端な形として早朝高血圧、深夜高血圧、白衣高血圧等が出現するのです。

 一般に血圧は夜中の2時ごろが一番低く、それから上昇していき、午後~夕方まで上がり続け、それからゆっくり下がっていきます。正常では、朝において血圧が低く、午後すぎに血圧のピークを迎えることになるのです。従って、一般に朝と午後すぎでは血圧に20~30mmHgくらい差のあるのは、正常なリズムといえます。まず患者さんは、その点を理解して頂きたいと思います。

 早朝高血圧は、通常の血圧パターンと異なり血圧が低いはずの早朝に血圧が上がってしまう異常です。上に述べたように、最も血圧の低い深夜から血圧は午後にかけてゆっくり上がって行くはずなのですが、早朝に急激に血圧が上がってしまうのです。このような人には自律神経失調が隠れていることがあります。朝になると、自律神経のうちでも活動時に働く交感神経が活発になっていきます。ところが、あまりに急激に交感神経が活発化すると、それに伴い血圧も急激に上昇するのです。正常なら、これを副交感神経が抑えるので、ゆるやかな血圧上昇で済むわけです。しかし自律神経失調で副交感神経が弱っていると、交感神経の暴走を抑えることが出来ません。一般に心筋梗塞や脳卒中などの血管障害は朝起こりやすいとされ、これに早朝高血圧が関与している場合が多いのです。

 深夜は休息時間帯なので、昼間より血圧は低いのが当たり前なのですが、深夜も昼間活動時と同程度の血圧が続くのを深夜高血圧と言います。深夜は副交感神経が強くなるので内臓は休息モードとなり、血圧は低くなるはずです。ところが、深夜でも血圧が下がらない深夜高血圧例では、内臓が休んでいないことになります。従って深夜高血圧例でも、やはり血管障害が多いのです。

 医者の前に出ると血圧が上がる場合もあり、これを白衣高血圧と呼びます。緊張感、不安により血圧が上がってしまうのです。自宅では低いのに、受診時"高血圧に化ける"のです。実際は正常血圧なので、一般の高血圧よりはましなのですが、血圧が時に暴れるのは事実です。

 私は血圧が高い時を基準に治療するべきと考えています。日常生活でも、医者の前に出た時と同じ位緊張したりイライラする場面は多いと思われますから、その都度血圧が上昇していれば、場合によっては血管障害が起きる危険もあり得るからです。また逆に、自宅の方が医者の前より高血圧であると訴える患者さんがいます。同様に、高い方を参考に治療すべきと考えます。

 以上のように、血圧は簡単に変動するもので、変動パターンも様々です。血管管理はとても大切ですが、それをいちいち気にするのは逆効果であるとも言えます。

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