名古屋市の認知症、動脈硬化、自律神経失調症、その他脳、神経に関する専門的クリニック

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足を動かし、頭を休める

 以前にも述べたように、歩くこと、すなわち足を動かすことは自律神経を良い方に導きます。

 悩みのある時も、散歩しながら考えると悩み(ストレス)も減るし、良い考えが浮かぶものです。とは言っても、あまり考えてばかりでは、疲れてしまいます。現代人は少しでも時間を無駄にせぬよう考え行動し、心からリラックスする時間が少ないのです。自律神経失調症の患者を見ると、このような時間にまじめな(几帳面)タイプの人が多いようです。忙しくても、生活の切り替えが上手い人は自律神経失調症には陥りません。

 私は自律神経失調症の患者さんに対して、「足を動かして、頭を休める」生活を勧めます。悩み事やストレスがある時、それを座って考えず、まずは歩いてみます。先程、歩きながら考えると言いましたが、別に考えなくても構いません。ただ無心に歩いて行くだけで良いのです。しばらくもくもくと歩いていると、良いアイデアが浮かぶことがあります。歩いて足を動かすことは、頭を休めるために有用ですが、結果的に上手に頭を使うことにもつながります。歩く時間をもったいないと思わないことです。仕事がどんなに忙しくても、一時間くらいの散歩時間は取れるはずです。

 そして周りが暗くなってきたら、そろそろ何もせず休むよう努めるべきです。仕事や考え事から一切離れ、頭を休めるようにします。何か他の事をするか、何もしない努力をするのです。そんな時、悩み事の良いヒントが生まれるものです。歩いている途中で良いアイデアが生まれるのと同様です。ずっと悩んでばかりでは、頭が煮詰まってしまいます。クールダウンする必要があります。

 極言すれば、足を使うことは副交感神経を、色々と考え悩んで頭を使うことは交感神経を高めます。現代人は往々にして足を休ませ、頭だけ使います。自律神経失調症の人は、その逆が望ましいのです。せめて頭と足を同時に使うよう心掛けましょう。歩く時間、何もせずボーとする時間を無駄としない生活習慣、いわゆるスローライフが大切です。

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