名古屋市の認知症、動脈硬化、自律神経失調症、その他脳、神経に関する専門的クリニック

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メタボは緩徐な自殺

 メタボリック症候群(メタボ)は、"内臓脂肪型肥満のため、高血圧、糖尿病、高脂血症などの成人病が引き起こされ、その結果動脈硬化が進行し、血管障害につながる病態"を指します。血管障害が脳で起きれば脳卒中、心臓で起きれば狭心症や心筋梗塞、腎臓で起きれば腎不全など、血管障害が起こる場所により疾患が異なるため、症候群と言います。

 前にも述べましたが、肥満でも皮下脂肪が多いタイプならメタボではなく、それほど内科的には問題ありません。ところが内臓脂肪が多いタイプは、メタボとして内臓にいつか毒牙を向けるのです。自分の肥満が内臓脂肪型であるとわかったら、かなり意識して内臓脂肪を減らす努力をせねばなりません。食事を減らすのは、一過性には効果が出ますが、リバウンドで逆効果が現れ、むしろ内臓脂肪を増やす結果に終わる場合も多いと思います。私としては、やはり有酸素運動(散歩)で堅実に減らす方が良いと考えます。

 内臓脂肪が増加していって、ついにはどこかの血管障害が起こったとします。その間に20年あったとしたら、"20年かけて崖っぷちまで到達して、転落する"のと同じだとも言えます。その間に、少しでも崖に近づかぬよう努力すれば、転落することも防げるわけです。努力を怠れば、崖に近づいてしまうことが予想されるのに、努力をしないのは、「緩徐な自殺」と言えなくもありません。

 私のクリニックでは、腹部超音波検査で内臓脂肪厚を測定していますが、10mm以上の患者はメタボとして強く有酸素運動を勧めます。そして一年後に再検査を行い、2~3mm減っていれば、"よく頑張った"と評価します。そのような患者は、寿命が延びたと考えてよいと思います。患者の日常生活まで追いかけるわけにはいきませんので、内臓脂肪厚を一年間の努力の成果として参考にしています。真面目に努力しないと、ばれてしまいます。そのような時、私は患者に釘を刺さねばなりません。緩徐でも自殺は見過ごすわけにはいきませんから。

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