認知症の急増につれて、脳トレの重要性も叫ばれています。しかしその前に筋トレを忘れてはいけません。認知症の最終段階である寝たきり予防のためにも筋トレは重要ですが、筋トレ自体が脳トレにつながるのです。
筋トレは筋力強化とストレッチに分けられます。老化や生活習慣により、使われない筋肉はやせ細り、一方で使われすぎると硬く縮むことになります。やせ細った筋肉には筋力強化、硬く縮んだ筋肉にはストレッチが必要なのです。適切にこれらを続けていくうちに、歩行能力も向上していきます。歩行能力が向上すれば、散歩が楽しくなるはずです。この散歩が脳トレに結びついていきます。その理由を以下に述べます。
- ①歩くことで足の血流が増加し、その結果、脳血流増加につながるのです。
- ②歩くことは、脳の中でも前頭葉が中心的に司ります。脳トレでも一番大切な前頭葉が、歩くことで強化されるのです。さらに一日の散歩の日課をやり終えた時の達成感は前頭葉を活性化します。
- ③散歩は右脳にも良い効果をもたらします。楽しく散歩すること、あるいは散歩中の楽しい出会いは、右脳を強化するのです。右脳は大脳辺縁系を元気にする脳です。アルツハイマー病で最初に障害されるのは大脳辺縁系で、散歩により右脳が元気になると、大脳辺縁系も元気になるのです。また散歩の延長である旅行に出かけて楽しい思いを味わえれば、きわめて効率よく右脳が強化されます。ストレッチそのものにも右脳を強化する働きがあるそうです。
- ④散歩を長時間続けると、体内の脂肪が消費されます。メタボ改善につながるのです。最近、メタボが認知症(特にアルツハイマー病)を引き起こすと盛んに警告されてきています。いわゆる有酸素運動(ニコニコ散歩)が認知症を予防するのです。
以上のように、筋トレに精を出して散歩を楽しむことは、認知症予防に直結すると考えてよく、どんな脳トレより先に取り組まなければならない訓練と言えます。