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現代の親孝行は社会活動を頑張ること?

 膨れ上がった高齢者の年金や医療費といった社会保障費を生産人口は稼ぎ出さねばなりません。家庭での親の介護という本来の親孝行の他に、現代では高齢者の社会保障を補助するという広い意味での親孝行もあるのです。本来の親孝行に専念しすぎると、広義の親孝行が疎かになる場合もあるかも知れません。

 仕事を半分に減らして親の介護をする親孝行ばかりであると、日本はどうなるでしょう? とても穏やかな国になるのでしょうが、国家としての発展は遅れてしまいます。そればかりか、国家としての存続も危うくなるかもしれません。実際、そのような行為を会社が許すことはありません。親の介護のため、早期退職をするサラリーマンは稀にあるでしょうが、これはまだ「本末転倒」の域を出ません。サラリーマン(男性)の育児休暇制度が徐々に広まっていますが、"介護休暇"の制度は生まれていません。その代わり、介護保険制度が制定され、ヘルパーが各家庭に派遣され介護を受け持つのです。またはデイサービスなどの介護施設を利用できるのです。介護保険制度というのは、必ずしも子供が親の介護をしないでも済むため作られた制度とも言えます。しかしヘルパーには報酬が支払われるのに、社会の生産活動をしながら家庭ではヘルパーと同じような介護を行う家族には無償というのも、現代ではおかしいのかも知れません。

 結論として、親孝行が美徳であることは間違いないのですが、そのため若い者が社会活動をなおざりにするのはどうかと思います。親は子供が立派に成長するのを願って子育てをしてきたはずなのに、その子供が自分のために社会貢献の機会をなくすというのは、本来の親の願いから外れる方向性とも言えます。立派に生産活動をやりつつ、親の世話も両立するとしたら、子供には相当な自己犠牲が必要です。

 現代においては、親孝行の概念を少し考え直さねばならないのではないかと思います。子供が親孝行であったとしても、その親は子孝行とは言えないかも知れません。親が出来るだけ子供の世話にならないよう最大限の努力をすることを前提として、初めて親孝行が正当化されるのではないでしょうか。

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