起立性調節障害とは、朝起きれない、元気が出ないなどの青少年によくみられる成長過程の病気です。不登校児童に起立性調節障害が隠れていることが話題になっています。これから起立性調節障害について、私の意見を述べていきます
起立性調節障害の症状として以下の11項目があります。このうち3項目以上が認められれば、起立性調節障害が疑われます。
- 1. 立ちくらみやめまい
- 2. 起立時の気分不良や失神
- 3. 入浴時の気分不良
- 4. 動悸や息切れ
- 5. 朝なかなか起きられず、午前中調子が悪い
- 6. 顔色が悪い
- 7. 食欲不振
- 8. 腹痛
- 9. 倦怠感
- 10. 頭痛
- 11. 乗り物酔い
起立性調節障害の原因は自律神経失調と言われています。思春期において自律神経の成長が遅れて、血圧、脈拍、その他の内臓機能の調節がうまくいかなくなり、起立性調節障害が生じると考えられます。稀な病気ではなく、かなりの若者を襲う病気であるということを覚えておいて下さい。
起立性調節障害が増えている
起立性調節障害が増えてきている印象を受けます。起立性調節障害の青少年は起立時の血圧や脈拍異常により、朝から元気に始動できなくなります。昔のようなスパルタ教育的な風潮が減ってきて、「甘やかされる」児童が増えてきたという側面も否定できません。しかし現代の多様な生活環境による影響から来るストレスも昔よりはるかに大きいのも確かです。このストレスが成長過程の青少年に自律神経失調をもたらすのです。
最近の子供に共通する傾向ですが、運動不足、日にあまり当たらない、夜型、外で遊ぶよりゲーム、コンビニが多い、スマホ命、若いのに食事(栄養)を気にするなどの生活習慣、生活環境が挙げられます。これらの生活習慣、環境が起立性調節障害の患者さんには目立つような気がします。起立性調節障害の体質をさらに悪化させるという可能性もあります。
起立性調節障害の年齢層が広くなってきていることも感じます。会社に行けないサラリーマン、家事が出来ない主婦。彼らの中に起立性調節障害が隠れているかもしれません。もしかしたらグータラに見える老人の中にも起立性調節障害が混じっているかもしれません。
起立性調節障害が若者を怠け者にする
起立性調節障害の若者は「何か元気がない、覇気がない、怠け者」という印象を周囲に与えます。起立性調節障害の30%が不登校になるというデータもあります。昔なら「根性の足りない若者」と烙印を押されることになったでしょう。
先に述べたように、起立性調節障害はどんどん増えてきています。起立性調節障害という病気のため「根性がない」と決めつけられてはたまりません。起立により血圧が下がる、脈拍(心拍)が異常に増える、頭痛がする、朝になっても眠気が残る、などの起立性調節障害症状で一見「怠け者」に映ってしまうのです。
このように起立性調節障害の若者は同情に十分値する「怠け者」なのです。しかしその一方で、超高齢社会を支えていかなければならない若者がこのようでは困るということも確かです。支えるどころか「社会のお荷物」になってしまう可能性もあります。起立性調節障害の若者が「落ちこぼれ」に転落するのを防ぐことはきわめて大切であると考えています。