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~かくれ脳梗塞~

 「かくれ脳梗塞」という言葉をよく聞きます。専門的には「無症候性脳梗塞」と言います。明らかな症状がなく、たまたま脳のCTやMRIを撮ってみたら、小さな米粒ほどの小梗塞が発見された場合、そのような言い方をされるのです。かくれ脳梗塞は、どのような意味を持つのでしょう?

  •  脳梗塞とは脳の血管がつまり、その先に血液が行かなくなることにより、その先の脳が死んでしまう状態を指します。脳血管は一本の木のようなものです。まず幹があり、枝が出て、さらに枝分かれして、最終的に実や葉っぱが付いています。太い枝が枯れると、その先の多くの実や葉っぱが落ちてしまいます。脳であるなら、この状態は麻痺や言語障害を起こす大きな脳梗塞です。しかし末梢の細い枝が枯れても、別に問題はありません。これがかくれ脳梗塞なのです。“枝が枯れる”という状態は動脈硬化にあたります。木が古くなると、枝の先から枯れていき、葉っぱが落ちるのと同様で、脳血管も老化とともに細い血管から動脈硬化を起こすことが多いのです。そして徐々に太い血管に動脈硬化が及び、そこがつまると本当の脳梗塞として障害を残してしまうのです。

  •  以前私がまとめた統計では、50歳代の人に約20~30%、60歳代なら約半数、70歳を過ぎるとほとんどの人にかくれ脳梗塞が認められました。だからそれほど心配することはありませんが、「かくれ脳梗塞」は脳血管の老化のサインであることは間違いないのです。また5個以上の多発性のかくれ脳梗塞を持つ人は、やはり動脈硬化の進行を自覚せねばなりません。

     かくれ脳梗塞があると、本当の脳梗塞が近々起こるのではないかと恐れる心配はありません。脳梗塞の治療を行う必要はありません。しかし多発性にみられる場合は、太い血管の動脈硬化もチェックしておいた方が良いでしょう。動脈硬化が確認されたら、動脈硬化危険因子である高血圧、糖尿病、高脂血症の管理をもっとしっかり行うべきです。場合によっては、抗血小板剤などの脳梗塞予防治療も始めねばなりません。

     かくれ脳梗塞は小さな地震のようなものです。たびたび起こるようなら、大きな地震に備えねばなりません。

  • 70歳以上は8〜9割います 動脈硬化に注意してくださいね

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