名古屋市の認知症、動脈硬化、自律神経失調症、その他脳、神経に関する専門的クリニック
私は経済音痴です。かなりの学者(医者)バカであるともいえます。医学、医療を頑張っていれば、それで人生は過ぎていくと思ってきました。
現在のクリニックを開業する前は、名古屋大学、名古屋第一赤十字病院などに勤務していましたが、その頃当たり前のように行ってきた検査や治療を振り返ってみると、かなり余分なこともやっていたと思わざるを得ません。しかし医学、医療を習得する過程においては、少しの手抜き、手落ちも許されないという姿勢で臨むべきなので、仕方がなかったと思います。患者さんもそれを望んで受診しているはずです。
ところがクリニックを開業して20年近くが経ち、私の心境にも変化が生じてきました。そのきっかけは、やはり我が国の経済危機の足音が経済音痴の私にも聞こえるようになってきたからです。医者がお金の話をするのはお門違いと思われるかもしれませんが、我が国の経済危機の原因の1つに医療費の増加が挙げられるのも確かです。年金などを合わせた社会保障費の増加は今後も止まるところを知らない状況です。
我が国の経済状況を借金にあえぐ家庭に置きかえて想像してみて下さい。
"溜まりに溜まった借金総額は1000万円以上。毎年の収入は70万円しかないのに、いまだ出費は毎年110万円以上。家計を切り詰めなければならないので、おじいちゃん、おばあちゃんの生活費を減らしたいところだが、医者代などはむしろ増えていく。破産したら、この家を売るしかない…"。万円を兆円に置き換えてみて下さい。もしかしたら我が国はこのような状態なのかもしれません。
今年は医療と経済について考えてみたいと思います。経済音痴の内科医の戯言ならいいのですが、国が破産してしまっては良い医療もヘチマもありません。これから少し、医療、福祉とは別の次元で悩み、論じてみたいと思います。