名古屋市の認知症、動脈硬化、自律神経失調症、その他脳、神経に関する専門的クリニック
糖尿病になる人は、大抵元気な人に多いと言えます。人一倍働いて、その分たくさん食べるから糖尿病になるのです。そのような人は、元々元気ですから病気に無頓着になりがちです。糖尿病初期においても、それほど症状が現れないので、「糖尿病」と言われても、気にせずあまり節制しないのです。しかしそんな元気な人でも、深く静かに糖尿病が体を蝕んでいくのです。
糖尿病は万病の元です。それは何故かと言うと、糖尿病が血管の流れを悪くして、その先の臓器に栄養を送れなくするからです。血管を大きく分けると、細小血管と大血管があります。細小血管とは目に見えないほど細い毛細血管のことで、網目のように臓器に血液を送ります。臓器とは目の網膜、腎臓、末梢神経などで、そこに栄養が送られなくなると、それぞれ網膜症、腎症、末梢神経症が起きます。網膜症は進行すると失明に至り、現在、日本人の失明者の原因の第一位は糖尿病なのです。腎症は蛋白尿で始まり、進行すると腎不全に至り、透析を余儀なくされる場合もあります。現在、透析患者の第一位も糖尿病です。末梢神経障害は足や手の先のしびれや麻痺を起こしますが、しびれがひどくて生活に支障が生じたり、逆に感覚がなくなり傷が出来ても気づかず、悪化させてしまうこともあります。また末梢神経障害には自律神経失調症も含まれ、色々な内臓疾患の原因につながる場合もあります。
一方、糖尿病による大血管病変がいわゆる動脈硬化症です。先に述べた細小血管も、動脈の最も末端な訳ですから、糖尿病による“万病”は動脈硬化により生じると考えてよいのです。大血管の動脈硬化が起こった場合は、脳梗塞、心筋梗塞、足の壊疽のように、それだけで命を奪われる事態も起こりかねません。
動脈硬化の危険因子には、高血圧、高脂血症、そして糖尿病があります(その他にタバコ、ストレス)。どちらかというと高血圧は細い動脈、高脂血症は太い動脈に動脈硬化を起こしますが、糖尿病の動脈硬化は細い動脈にも太い動脈にも起こります。そのような訳で、糖尿病が進むと、体中の血管の流れる臓器すべてが危険にさらされる可能性が出てきます。糖尿病患者は医療費が一般の2倍かかると言われる理由はそこにあるのです。今や我が国における糖尿病患者は、10人に1人です。糖尿病の危険性が出てきたら、元気なうちから管理することをお勧めします。