名古屋市の認知症、動脈硬化、自律神経失調症、その他脳、神経に関する専門的クリニック
病気にも潮目があります。中高年(45~74歳くらい)は体内の栄養分が余って病気が起きます。中高年に起こりやすい病気として癌、動脈硬化があります。これらは活性酸素、内臓脂肪が余って起きる「余り病」と考えることが出来ます。この時期は、運動不足に加えて栄養過多に注意すべきです。余った栄養分が有害物質として溜まって、病気になります。
昔は癌や動脈硬化から起こる心疾患、脳卒中にかかると、大体は死んでしまいました。ところが現代は生き残ることが出来ます。そうして老後(75歳以上)を迎えた高齢者はどうなっていくのでしょう? 今度は栄養失調が原因の病気が襲ってくることになります。病気の原因が栄養過多から栄養失調に変わります。老後を迎える頃に潮目が変わるのです。
老後は栄養の消化・吸収が悪くなる、筋肉が減る、骨がもろくなる、脳の神経細胞が減るなどの老化現象が起きます。それまでの貯金が減っていきます。こうして「足りない病」が起こるのです。筋肉が減ると転倒しやすくなり、骨がもろくなると転倒した時に折れやすくなります。こうして歩かなくなると、免疫力が低下して肺炎が起こります。また神経細胞が減りすぎると認知機能が低下していきます。転倒・骨折、肺炎、認知症(アルツハイマー病)は「足りない病」なのです。色々な栄養素が足りなくなるから、病気が起きます。75~80歳を境に治療方針が反対になってしまうのです。「栄養過多から栄養失調へ」、「余り病から足りない病へ」というように、病気の潮目が変わる時を見逃してはいけません。
80歳で潮目が変わるといっても、もうそんな年齢からのことなどどうでもいいと考える人もいるでしょう。しかし我が国は「100歳時代」を迎えようとしているのです。60歳から80歳までの20年、80歳から100歳までの20年、潮目が変わる80歳ごろはまだ序の口なのです。老後、寝たきりに近くなって、国のお荷物になるのは絶対に避けなければなりません。"80歳からの20年"がとても意味を持つ時代に差しかかったと自覚するべきです。